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2012年6月19日 (火)

梅雨の季節にオススメの一冊(笑)

 これを書いているのは6月19日の夜だが、現在、この時期には珍しい台風が日本に上陸しており、部屋の外は大荒れ模様である。
 21時現在、台風は愛知県東部を東上しているそうだ。このまま行けば、間違いなく福島第一原発を直撃し、崩れかかっている4号機建屋内の使用済み燃料プールが危ぶまれるが、NHKニュースはまったく触れようとしない。
 ま、それも然り。NHKだけでなく、ほとんどの地上波テレビ局、大手新聞社は、今月15日、大飯原発再稼働に抗議するため、官邸周辺を取り巻いた1万人のデモをまったく報じなかったのだから。(さらに昨日、37万人もの署名を集めた「原発の是非を問う都民投票条例案」を東京都議会が否決したニュースさえ、多くのメディアはまともに報じなかった)

 新聞やテレビでしかニュースを見聞しないような人は、野田佳彦首相が言ったように「原発事故は収束した」と思い始めているのだろうか? これを読んでくれているのは、多くが私のリアル知り合いばかりだろうから、まさかそうは考えていないだろうが、あなたの親類や知人には、そうした人も少なからずいるだろう。そんな人におススメしてほしいのが、柴野徹夫という人の書いた『明日なき原発 原発のある風景・増補新版』(未来社)という本である。

 題名でおわかりと思うが、これは以前に出版された『原発のある風景』という本の復刻。オリジナルは1984年、同じ未来社より発売された。著者の柴野徹夫は、当時『赤旗』記者だった。
 …というと「なんだ、共産党か」と、拒否反応を示す人もいるだろう。
 正直、自分も共産党はあまり好きではない。その具体的理由をここで挙げてもいいが、長くなるので省略する。一言で言えば現実よりもイデオロギーに重きを置きすぎだから。最近は少し変わってきたようだが、近著『津波と原発』(講談社)の中でこの本の存在を教えてくれた佐野眞一も、そうした「出自」を毛嫌いしている。

 しかし、そうした「共産党アレルギー」でスルーしてしまうには、この本はあまりにもったいない。

 この本のオリジナルが書かれた1984年といえば、堀江邦夫の『原発ジプシー』が講談社文庫として発売された年である。おそらく、筆者の柴野徹夫は、この本の存在を直接か間接に知り、『赤旗』の「ネタ」にしようと考えたのではなかったか。(文中では「誰かから原発ジプシーという存在を聞いた」としている)
 しかし、柴野の非凡なところはその後だ。彼は単身、常磐線に乗り込み、浪江町に降り立つ。そして、福島第一原発の作業員が寝泊まりする宿に飛び込み、彼らに体当たり取材を敢行するのだ。
 スリーマイル事故の後とはいえ、チェルノブイリ事故前で、まだ原発の危険性など、一般的にはほとんど議論されていない頃だったからか、作業員たちは意外なほどあけっぴろげに、原発で働く不安や不満、愚痴を吐露する。危険な作業の実態、隠蔽される事故、日常的に行われる被曝線量のごまかし、ピンハネされまくる日当。 
 さらに柴野は作業員だけでなく、福島原発周辺の住民にも取材している。原発ができて以来、作業員や東電社員による事件、事故が急増しただけでなく、住民自身による犯罪も激増。特に女子高生売春など青少年の非行が増えている。 
 
 そうした話以上にすごいのが、東芝と並ぶ原子力企業の日立社員たちの告白だ。(茨城県日立市では、自治体名と区別するため、彼らは「ニッセイ」の社員と呼ばれているそうだ)
 今はどうか知らないが、当時、日立社員は原発の定期点検時に「作業員」として出向させられていたらしく、大量被曝させられた社員がいつの間にか姿を消したとか、放射能を大量に浴びた部品を日立本社まで持ち帰って補修したとか、驚くべき話が次々と語られている。

 それでも、これだけでは単なる「話」である。この本がすごいのは、それぞれ裏付けのデータを出していることだ。
 たとえば、「東京電力福島原子力発電所における死亡事故一覧」表。(昭和46〜52年まで)それぞれの死亡年月日、年齢、所属または元請け、下請け、職務内容、被曝線量、死因が明記されている。さらに、当時の大飯原発の下請け企業系列構図、福島県富岡警察署が作成した事件簿、関西電力・高浜原発の「放射線管理月報」(電力会社社員、作業員それぞれの線量が記されている)、関電作成の「原子力発電所新設予定地地形地質調査」(一部)…。
 いずれも外部秘の資料で、いったい著者がどこからこれらを入手したのか知りたいところだが、ニュースソースの秘匿は記者の鉄則なので無理だろう。

 自分も3.11以降、いろんな原発関係の本を読んできたが、この本は『原発ジプシー』と同じくらい、インパクトのあった内容だった。というより、『原発ジプシー』が「原発の中からの告発」だとすれば、この『原発のある風景』は、「原発の外からの告発」で、両方を併せ読むと、福島の原発事故がどうして起こったのかが、よくわかる。

 やっぱりあの事故は偶然ではなく、必然だったのである。

Asunakigenpatsu


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